釣りにおける「スケール問題」

釣りに関する考察

たとえば、ビシアジ釣りであったら。成人男性の僕が見るムツバリ11号と、海中水深100mを泳いでいるマアジが見るムツバリ11号は、どの程度同じものに見えていて、どの程度違うものに見えているのか?

この問題を僕は「スケール問題」と呼んでいる。スケールとはものさし、縮尺、寸法の意。

釣りの経験の少ない人からしたらムツバリの10号、11号、12号に違いを見いだすことは困難であり、太地バリにも無頓着だろう。ハリスが1.7号だろうが、2号だろうが、3号だろうが、そこに大きな違いはないと考える。

しかし、体調30cm程度のマアジの目から見たらどうだろうか?これも釣りにおける「スケール問題」である。魚の気持ちになったらどうだろうか?ってやつだ。

釣り人が竿をしゃくるとき、釣り人が確実に知れる情報は、竿をどの程度の強さでどの程度の幅しゃくったか?

それだけである。

その釣り人の動作により、海中でイワシミンチがビシからどう出るか?ビシから出たコマセが潮でどう流されているのか?その間、つけ餌の赤タンはどう動いているのか?

これは釣り人が想像するしかない。

釣り人が竿をしゃくったときに起きる海中での一連の出来事が、マアジの目にどう映っているのか?

これは想像のうえに、マアジのスケールでその状況を見なければならない。

釣り人と魚。釣り人の五感と、魚の五感。対峙した釣り人と魚は同じ時間を生きているとはいえ、それぞれが見ている世界や感じているものは全く別であろう。

釣りのうまい人は魚側のスケールをもって、釣りに臨む。同時に釣り人のスケールをもってして、釣りの利便をできる限りそこなわないような環境作りをする。その両方に非常に熱心だ。

魚の都合と人間の都合を十分に思慮する。魚のスケールと釣り人のスケールの両者を突き詰め、その間にある妥協点、限界点のようなポイントをうまく見つける。釣りの上手な人はその「点」で釣りをしているのだ。

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はたして、アジちゃんは何を感じて、何を見ているのか。

かくいう僕は、釣りの達人でもなんでもないのだけど。悪しからず。

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