昔、時間のあったときに書いていた文章を少しだけ残しておこうと思った。
猫がいた
一昨日の深夜のこと。働いて、フットサルをして、中華飯とビールで、ぐったりと疲れきったカラダでの帰り道に猫がいた。
逃げる様子が全くなかった。しゃがんだ僕のカラダにカラダをすり寄せながら、すりすりぐるっと僕のカラダの周りをまわった。
つい手を伸ばして猫のカラダに触れようとしたら、ミャーと何処かにいってしまった。
鯉の群れ
僕は鳥山川に沿って続く歩道に置かれたベンチに腰掛けて読書にふけっていた。鳥山川はホテルの直ぐ側を流れる、鶴見川の支流である。土手の下は雑草が生い茂り、その中ほどには川幅4、5mほどの細い川が流れる。水がチョロチョロと流れる。
男の子が橋の地覆に乗り、高欄の隙間から水の中を見るのを、ベンチから眺めた。若いお母さんに先に行ってしまうわよ、と急かされている。
川を覗くとそこには鯉の群れがあった。川の片側が淵になっており、そこに大小十数匹がたまっている。個々の魚はゆらゆらと前に進むのに群れは淵に留まっている。
前進によりその淵から抜けた先頭の1匹が、魚体を斜め45°に傾け脱力する。それが群れの掟なのだろう。傾けた体は水流を受け、自然と斜め後方にいく。まるで木の葉が水面を流れる様だ。そうして先頭の1匹が次第群れの尾っぽまで流されると、体の向きを元にし、こいつが次の群れの尾っぽになる。
さっきまで仲間を率いていたのが、次の場面では仲間の尻を追いかける風になる。なるほど、皆が平等に疲れるように、また疲れないようにしているのか、と感心した。
鯉釣り
水に油膜が広がる。所々に桜がきれい。
地元の小汚い釣り具屋でまごつく彼らにおやじが話をかける。坊主、何を釣るんだい?ヤマザキの食パン袋を片手に「コイ!」と少年ら。
鯉ならこの時期は簡単なもんだ。食パンの耳をちぎった白い部分を針につけて水に浮かべてやる。ただ待てばポクポク、パフッとやってくる。臆病だから静かに釣るんだよ、とおやじは言う。講釈は続く。なあ知ってるか?鯉も人間と同じ、ただの食パンよりトーストしてマーガリンなりバターなりを塗りたくったほうが食いがいい。近頃の鯉は贅沢になったんだよ、と云々。天井を指さしながら、こんれを見てみとおやじ。馬鹿に巨大な鯉の魚拓が天井を被っている。また云々。
少年たちはマクドナルドのハンバーガーを片手におしゃべりをしながらパンを浮かべる。ライターで炙りマーガリンをまとったパンだ。水に投げ込むと油膜が広がる。
鯉は沢山いるのに、しばらくしても、静かに待てどもトーストに見向きもしない。つつきもしない。やはり濡れたトーストはいただけないのか。
彼らは好きな女子クラスメイトの話をしている。コイのほうには飽き飽きしながら、ちぎったフライドポテトを川に投げ込む。すると、それにすっと寄ってきた鯉がポクポク、パフッとやった。マーガリントーストよりフライドポテト、なるほど人間と同じか。静かに釣るとはそういうことか。
手紙の冒頭
あなたが僕のことを軽蔑しているのも感じますし、あなたにとって僕が不必要な存在であることもわかります。こんな手紙も迷惑なのだろうと思います。
そして、いくらこう気持ちを文章にしたところでそれをあなたに信用してもらえることはなく、その全ての原因が僕にあることも理解しています。
ただ流し読みするだけでも、暇潰しにでも、滑稽さを嘲笑いながらでも構いません。読んでくれたら、心から嬉しいです。
ウイスキーフラスコ
女のカラダをしたウイスキーフラスコを僕の手からそっと奪い取って
「浮気はイヤよ」
と、パトリシア。
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